「奇跡の脳」の著者ジル・ボルト・テイラーが、この著書の中で記載している内容について紹介します。

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反応能力を、「感覚系を通って入ってくるあらゆる刺激に対してどう反応するかを選ぶ能力」と定義します。自発的に引き起こされる感情を司る大脳辺縁系のプログラムが存在し、このプログラムの一つが誘発され、化学物質が体内に満ちわたり、そして血流からその物質の痕跡が消えるまで、すべてが90秒以内に終わります。

例えば怒りの反応は、自発的に誘発されるプログラム。ひとたび怒りが誘発されると、脳から放出される化学物質がからだに満ち、生理的な反応が引き起こされます。最初の誘発から90秒以内に、怒りの化学的な成分は血液中からなくなり、自動的な反応は終わります。もし90秒が過ぎてもまだ怒りが続いているとしたら、それはその回路が機能し続けるように私達が選択したからです。瞬間、瞬間に、神経回路につなげるか、それとも、現在の瞬間に戻って、つかの間の生理機能としてその反応を消散させるかのどちらかの選択をしているんです。

ほとんどの人は、自分がどう反応するか、無意識のうちに選択をしていることに気づきません。大脳辺縁系プラグラム済みの反応に身をゆだねるのは楽なので、自動操縦にたよって快適なペースで生活しがちなのです。辺縁系の中で起きていることに大脳皮質の細胞が注意を向ければ向けるほど、考えたり、感じたりすることに口出しができるようになります。

自動回路がおこなっている選択に注意を払うことによって、自分で手綱を握り、意識的な選択を増やすことができます。長期的に、自分の人生全般に責任を負うのです。*1

左の脳は、情報をまとめる面では宇宙の中でもっともすぐれた道具です。左脳のキャラクターはあらゆるものを分類し、組織化し、記述し、判断し、批判的に分析する能力を誇っています。そして完全主義者で、管理人のようにふるまいます。複数の仕事をこなし、同時にできるだけ多くの機能を演じるのを好み、とても働き者で、やらなければならない日課の項目をどれだか線を引いて消せたかで、その価値を判断します。

何かを作るとき、左脳は空白を埋めるのが得意で、話の筋を作る過程でシナリオの代替案をようする天才的な能力をもっています。左脳という物語作家は、作り出した物語を必死で信じさせようと何度も何度も心にくりかえしこだまし、思考のループの中にはびこって、最悪の事態ばかり考えるようになってしまいます。

頑固で傲慢で皮肉屋、そして嫉妬深く用心深い左脳からの声は、否定的で心に繰り返しこだまします。自分や他人に対して意地悪になったり、絶え間なく不安になったり、あるいは口汚くののしってしまうような左脳の一部により、胸は苦しくなり、血圧は上がり、眉根が寄って頭痛がします。痛ましい過去の記憶をその場で再生しようとする古い感情的な回路が左脳の自我の中枢に存在します。

それらの左脳から発せられる思考を意識的に止められる、という能力をもっているんだと知ることができれば、それがそれらからの解放に繋がります。

肉体や精神の環境がどうあれ、右脳の領域に踏み込んで、思考を現在の瞬間に引き戻し、平和と愛の心(右脳マインド)に戻れることを知っていれば、束縛から解放されます。

人間の神経系には1兆個の細胞から作られています。地球上の人口が約60億、ひとつの神経系を作る為に繋がっている細胞の数は60億人の全人類を166倍しなければならいし、成人の人間の体は50兆個の細胞からできていて全人口の8333倍にもなるのです。

 

私達のからだを作ってくれているこれらの細胞が、元気で完全に調和して働いてくれていることに感謝しましょう。そうすれば細胞たちが健康をもたらしてくれると信じています

今この瞬間に起きていることを

見つめ感じる

ヨガを科学する

アメリカなどでは「YOGA IS MY HEALTH INSURANCE」などのスローガンを掲げている団体があると聞くほど、ヨガが健康にいいことが認知されています。海外の情報サイトElsevierPubMedを検索すると、ヨガに関する多くのエビデンスが紹介されており、ストレスや不安感を軽減させる効果があったと結論づけている研究、痛みを軽減すると結論づける研究など科学的に多くの研究が実施され発表されています。

日本では厚生労働省の情報発信サイト*1で、エビデンスがアップされており、ヨガ実習により不安の軽減、自己評価による睡眠の質の向上、ストレスの身体化症状の軽減、過呼吸による不快症状の軽減が生じることを示したと発表されています。


うつ

Brown大学にて実施した、抗うつ薬治療にもかかわらず、ハタヨガが継続的な抑うつ症状を有する個体のための有効な補助的介入であるかを調べる調査では、介入期(10週間)の終わりにうつ症状の差は見られなかったが、ヨガ参加者は追跡期間全体である3ヶ月6ヶ月のフォローアップにわたってうつ症状が少なかった。ヨガのメリットは、時間の経過とともに蓄積される可能性があったとあり、社会的役割機能と一般的健康意識が優位に改善された結果となっています。*2*3*4

骨粗鬆症

コロンビア大学では2005年から2015年の10年間の741人の骨粗鬆症と既に診断されている老人達を対象とした、骨密度調査では、毎日12分のヨガを実施した患者の骨密度は、背骨、腰、および大腿骨において改善したと報告されている。またヨガ関連の重大な怪我の報告はなく、安全に脊椎、大腿骨の骨密度改善に役立つ方法と結論づけています。*5

実施されたポーズ(木のポーズ・三角形のポーズ、戦士のポーズII、橋のポーズ、ねじりのポーズ数種、いなごのポーズ、ねじった戦士のポーズ、体の脇を伸ばすポーズ、他)

言語記憶

UCLAで実施された研究調査では、ヨガは脳にも良い効果をもたらし、言語処理ネットワークを増加させ、視覚言語空間などの記憶を改善する記憶強化トレーニング(MET)と同じような効果をもたらす可能性があるとしています。*6

糖尿病・心疾患

ハーバード大学が実施している2014年の無作為比較試験(2,768人を含む)のメタレビューでは、ヨガを行った人々は、心疾患および糖尿病の危険因子の範囲において有意な改善を示したとしてる。心拍数は有意に低下したが、善玉コレステロールは上昇し、体重減少は平均して数キロ以上であったとし、ヨーガは有酸素運動試験群に匹敵する運動効果があるとしています。*7

痛みの軽減

 7日間の集中ヨガプログラムの実施で、痛み、不安、うつを軽減し、慢性腰痛患者の脊髄可動性を理学療法よりも効果的に改善したと報告しています。*8

更年期障害

 88人の更年期障害を患う女性を対象にした調査では、ハタヨガを実施したグループは、更年期障害の症状を改善し、ストレスレベルおよびうつ症状が低下し、生活の質の向上が認められたと報告しています。*9

ダイエット効果

 ヨガの調気法は鼻炎、気管支炎えんどの呼吸器系の病気治療に有効とされていますが、右鼻だけで吸息、呼息するスールヤ・アヌローマ・ヴィローマは体内組織の熱を上昇させ、体内の異化作用を促進があり、14回に127ランウンドこの調気法を行った体重95kg身長137㎝の女性は1年後に46kgまで体重が減少したことが報告されています。*10

アンチエイジング効果

12週間ヨガと瞑想を実施したグループは、身体のコルチゾールレベルは低下し、炎症は減少し、染色体をダメージから保護してくれるテロメアは活性化し、エンドルフィンは増加し、ヨガと瞑想は老化速度をスピードダウンしてくれると報告しています。*11

月経痛の軽減

毎週60分12週間の期間で、アーサナ、リラクゼーション、瞑想を組み合わせたヨガ看護学生に実施した研究では、対照群と比較して、ヨガ実施群月経痛が軽減されており、ヨガが月経痛や月経困難症に効果がある可能性があるしています。*12

 

 

参考文献

 

*1   厚生労働省「総合医療」に係わる情報発信等推進事業 「総合医療」情報発信サイト

*2   Robert B. Saper, et al. (2017); Yoga, Physical Therapy, or Education for Chronic Low BackPain: A Randomized Noninferiority Trial, Annals of Internal Medicine🄬 

*3   Effects of yoga on depression and anxiety of womenComplementary Therapies in Clinical Practice Volume 15, Issue  2, May 2009, Pages 102-104

*4   Telles S, et al: Effect of Yoga on Different Aspects of Mental Health. Indian Journal of Physiological Pharmacology 2012; 56(3), 245-254. Pubmed ID:17006412

*5   Lu et al.2016: Twelve-Minute Daily Yoga Regimen Reverses Osteoporotic Bone Loss, Geriatric Rehabilitation: April/June 2016 - Volume 32 - Issue 2 - p 81–87

*6   Eyre HA et al.: Changes in Neural Connectivity and Memory Following a Yoga Intervention for Older Adults: A Pilot Study, J.A.D 2016;52(2):673-84. doi: 10.3233/JAD-150653:

*7   Paula et al. (2014): The effectiveness of yoga in modifying risk factors for cardiovascular disease and metabolic syndrome: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials, European Journal of Preventive Cardiology Volume: 23 issue: 3, page(s): 291-307

*8   P. Tekur et al.: A comprehensive yoga programs improves pain, anxiety and depression in chronic low back pain patients more than exercise: An RCT: Complementary Therapies in Medicine Volume 20, Issue 3, June 2012, Pages 107-118

*9   Jorge MP et al. Hatha Yoga practice decreases menopause symptoms and improves quality of life: A randomized controlled trial. : complementary therapies in medicines 2016 Jun;26:128-35. doi: 10.1016/j.ctim.2016.03.014. Epub 2016 Mar 22.

*10  ヨーガ療法士養成前期・実技資料集 日本ヨーガニケタン謹製

*11   Madhuri Tolahunase et al.: Impact of Yoga and Meditation on Cellular Aging in Apparently Healthy Individuals: A Prospective, Open-Label Single-Arm Exploratory Study, Oxid Med Cell Longev. 10.1155/2017/7928981

*12   Yang NY. Et al.: Effects of a Yoga Program on Menstrual Cramps and Menstrual Distress in Undergraduate Students with Primary Dysmenorrhea: A Single-Blind, Randomized Controlled Trial.  J Altern Complement Med. 2016 Sep;22(9):732-8. doi: 10.1089/acm.2016.0058.  Epub 2016 Jun 17.

瞑想を科学する

マインドフルネス 

2000年以上にわたって瞑想には心理学的な効果があることが分かっており、科学的な研究が進む中脳の内部で脳内の構造変化が行われていることも分かっています。数を上げればきりがありません。

 

瞑想するときは、基本姿勢を正す「調身」、呼吸を整える「調息」、心を整える「調心」が基本です。正しい姿勢で深い呼吸をすることにより、自律神経系・内分泌系のバランスが整い、心身が落ち着きストレス低減につながのです



脳への効果

 Massachusetts General HospitalとドイツのUniversity of Giessenが行った研究によると、マインドフルネス瞑想を続けると、記憶や自我、共感、ストレスに関連する脳の部分に変化をもたらすと結果が出たと発表しています。学習や記憶、感情、思いやり、内省などに関係している脳内の海馬と呼ばれる部位にある灰白質の容積が密集し、増大していることが確認され、一方、不安や恐怖などに関連する扁桃体においては、灰白質の容積が減少している事が分かったとしています。マインドフルネス瞑想のコースにより被験者らの脳の構造に変化が見られ、彼らが幸福感を感じるなどポジティブな効果があったとしています。

 ギーセン大学のブリッタ・ホルゼル(Britta Holzel)博士は「脳は可塑的であり、瞑想することにより脳の構造を変え、幸福を増大させ、人生を豊かにすることができるのは素晴らしい」と語っています。*1

 呼吸、瞑想、およびアーサナに基づくヨガは、全体の脳波活動を増加させると結論づけられました。ヨーガの介入後、扁桃体および前頭皮質の活性化、灰白質の増加が明らかになった。ヨーガは、高齢者のための効果的な補助療法である可能性が高いとしています。*2

思考へのプラスの影響

瞑想を実施している人はストレスフルな状況をネガティブにうけとめにくく、ストレスに直面しても心と身体を意識してコントロールできると報告されています。衝動的な行動を起こさず、自動操縦から解放されるのです。*3

職場におけるストレスの軽減と集中力改善

 大手IT企業では既にマインドフルネスが導入されているが、中小企業ではまだまだ導入されていないのが現状であるが、初期研究において、社員のストレスの軽減、集中力がアップ、パフォーマンス向上が得られたとの報告がある。*4*5

オックスフォ―ド大学による研究 Mindfulness-Base Congnitive Therapy(MBCT)オンラインコース修了者対象

くよくよ考える 58%↓

気分の落ち込み 57%↓

ストレス 40%↓ 

参考文献

 

*1 Britta Holzel et.al.Mindfulness practice leads to increases in regional brain gray matter density: Psychiatry Research: Neuroimaging Volume 191, Issue 1, 30 January 2011, Pages 36-43 

*2  Desai R. et al.: Effects of yoga on brain waves and structural activation: A review., Complement Ther Clin Pract. 2015 May;21(2):112-8. doi: 10.1016/j.ctcp.2015.02.002. Epub 2015 Mar 9.

*3  Shian-Ling Keng et al.:Effects of Mindfulness on Psychological Health: A Review of Empirical Studies, Clin Psychol Rev. 2011 Aug; 31(6): 1041–1056.

*4  Wolever, R. et al"Effective and viable mind-body stress reduction in the workplace: A randomized controlled trial." Journal of Occupational Health Psychology, 2012

 

*5  Levy, D M et al, " Initial results form a study of effects of meditation on multitasking performance",

マインドフルネス瞑想特にアメリカのMBSRは1979年にマサチューセッツ大学メディカルスクールのジョン・カバットージン博士が生み出した、ストレスや身体の痛みとのコーピング・プログラムマインドフルネスストレス低減法(MBSR)は、ブッダの生きる苦悩を解放するための教えは万人のためのものであると考え、マインドフルネス瞑想やハタ・ヨーガなどの東洋思想や行法に心身医学を統合し作り上げた、宗教色のない(secular)教育的プログラムで、欧米、オセアニアを中心に医療領域で実施され沢山の科学的エビデンスを提供してくれています。

      • ストレスの軽減
      • うつ症状の軽減
      • 痛みの軽減
      • 免疫力・治癒力のアップ
      • 集中力・記憶力アップ
      • 睡眠の質のがよくなる
      • 人間関係が良くなる